その中で3つのモデルによる実証実験を通じ、請求業務のデジタル化ポイントを分析しました。
請求業務のデジタル化が求められている
昨今デジタル化の推進が重要視されているものの、紙ベースの業務が根強く残っている自治体請求業務。自治体職員が手作業で請求書の情報を財務会計システムに入力しており、作業負担や誤入力のリスクから新しい生産性な業務モデルが求められています。
【実験】
請求書電子化のモデル比較の結果
横須賀市様でも請求業務のデジタル化を進める上で最適な業務モデルが検討されていました。本実証実験では、次の3つの業務改善モデルを作成し、業務効率化の比較検証を行うことで、各モデルの想定効果と課題を整理しました。
<3つの業務プロセス改善モデル>
①電子請求ソリューションの連携ツールで自治体の財務会計システムに請求情報を自動転記する方法
②請求情報を読み込む仕組みを財務会計システムに組み込む方法
③請求情報を自治体と民間事業者のネットワークを介して直接連携する方法
①連携ツール利用時の効果(実機検証)
連携ツールを利用することで、現在と比べて作業時間を約71.5%、年間で約3,848時間(約1,424万円)削減する効果があると分かりました。また、定性的には職員が情報を入力する際の精神的負担が少ないことも報告されています。
②パッケージ組み込みの効果(実機検証)
パッケージを組み込むパターンでは、作業時間を約58.6%、年間で約3,154時間(約1,167万円)の削減する効果があると分かりました。また、①連携ツールを利用した場合同様、入力時の精神的負担が少なく、操作も日頃使用している財務会計システムで完結するため、職員が使いこなしやすいことメリットとして挙げられました。
③直接連携の効果(机上検証)
自治体と民間事業者のネットワークを直接連携するモデルでは、請求業務だけでなく見積・調達・契約などのあらゆる取り引き業務をデジタル化し、大きく時間削減すると期待されます。
一方で実現のためには民間事業者や自治体間の業務やシステムの標準化、ネットワークの整備などが必要であり、あらゆる利害関係者の時間が必要のようです。
実験結果から考える、請求業務デジタル化の進め方
①(電子請求ソリューションの連携ツールを利用する業務モデル)は、財務会計システムの改修やネットワークの変更を伴わず、比較的導入しやすいと考えられます。そのため、自治体の事情によっては、まずは①連携ツールを利用し、その後②パッケージ組み込みへ、さらに③完全デジタル化へと、段階的な業務モデルの見直しをしていくことも一つの有効な案と考えます。